本名はスクイル。由来は北欧神話から、フレイ(ユング)の友人スキルニルのもじり。偽名の方は、意味は英語での意味そのまま。相反するセオリーが同時に彼の中に存在している。(日本語におけるセオリーとは意味合いが少し違います)コイツの中のセオリーにクリス達が大混乱させられるわけです。
ルフィーナの異母兄で、フィクサーの親友という立ち位置。家庭環境はルフィーナと似たようなものだが、スクイルは男なので周囲に持ち上げられる側。だが、異母妹を大事に思っているからこそ、周囲の持ち上げに内心で反発していた。息子が優秀で調子に乗っている実母など嫌悪の最大の対象である。他人の夫に股を開く阿婆擦れでしか無い。
そう、跡取りとなるスクイルが生まれたから彼の実母は妾になる事が出来たのだ。エルフは長命のため性欲は薄いし、子も出来にくい。ので、愛などではなく里長の妻と言う立場を狙ったと思われるし、そういう性格の実母なのだと息子が一番理解していた。
そんな大人に囲まれていたからこそ幼馴染二人のどちらもが一層大切で、けれどその大切な関係が恋愛感情によって壊れてしまいそうになる、大嫌いだった大人への成長に悩む事となる。
更に成人したことでうるさくなる周囲にも辟易し、逃げるように里を出ることにしたらユングが何故か着いてきて。その後はユングの災難に巻き込まれる形で、神によって存在の改変をされてしまう。その際の不具合は精神異常。怒りと憎しみが制御出来ない。気に入らないものを壊したくなってしまう。
元々の強い精神力で抑えてはいたものの、むしろ「抑える必要など無いのでは?」と心のどこかで思ってしまった里の連中に対しては抑えきれなくなり、私刑執行。その時、箍が外れた状態で目にしてしまった異母妹にも手を下してしまう始末。あの父親の子孫を残すなど許せない、それは勿論嘘では無いが、大事な異母妹がどこかの男の子を宿す事自体も許せなかった、という事もあるだろう。大事な異母妹の子だから愛せるなどと言う事は無い。それが出来るなら親にここまで嫌悪しない。
ちなみに異母妹への愛情と同じくらい、親友への愛情も持ち合わせているため、ユングが彼女を作るのも許容できないし、異母妹と付き合うだなんて状況も許さない。恋愛は認めない。三人の関係を崩させない。
今後、肉体を治して再度告白しようとしているフィクサーを、もしルフィーナが受け入れてしまったら……きっと今の自分は二人とも殺してしまう。しかしそれは望んでいる結末では無い。ならどうすればいいのか。これが彼の中のセオリーの始点であり、導き出した答えは複数存在する。
その答えのどれに転んでもいい、そして出来る限りフェアにしよう。この、フェアにしようとする行動が周囲に謎を呼ぶ、本人にしか分からない行動原理となるのだった。
ちなみに、ルフィーナが目をかけているという理由でレクチェもエリオットも大嫌い(ローズを殺したのは、不要になったからというのも間違いでは無いが、半分以上はエリオットへの嫌がらせを兼ねている)だし、フィクサーに対して愛に近い感情を向けているクラッサも気に食わない。フィクサーがクラッサをどうとも思ってないから見逃されているだけである。不幸中の幸い。
クリスについては、セオリーからすれば間違っているのにも関わらず堂々と真っ直ぐ生きる様が最高に苛立つ。羨ましくて憎々しい。汚して捻じ曲げて利用してやれたら最高に気が晴れそうだ、という考えで相対している。
こうして書くととんでもなく性格が悪いが、肉体改変前はちょっと幼馴染達への愛が重いだけの、ブラックジョーク好きな兄ちゃん。
基本はフィクサーのルフィーナへの選択に対して「フェアに」誘導しようとしていて、裏で色々勝手にやる事が多いせいでフィクサーには気付かれず、被害を被るルフィーナには訝しがられ、改変後しか知らないクラッサやクリス達からはヤベェ奴だと思われている。
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