生い立ち的に、軍に潜伏する際に偽名を使っているはずであり、本名は不明。
彼女はまず両親を亡くしており、城内で勤務していた兄との二人暮らしだった。しかしエマヌエルに兄を殺され、親戚に引き取られた所から被虐待が始まった。体には様々な傷跡があり、普段は魔術で隠している。
絵本から始まる女神の伝承が好きで幼く(と言っても中学生くらい)して考古学者となり、その方面の論文を書き上げる程の執着を持っていたが、親戚に引き取られた際にそれらの資料は全て奪われ、想像が出来うる大抵の虐待を受けながら監禁生活を余儀なくされていたところに、過去の論文を見てクラッサを探したフィクサーによって助けられる。フィクサー的には誘拐なので、まさかそんな感謝されているとは思ってもいない。
幸い、フィクサーの助けが来たのが早めだった事もあり(早くはあるが、散々暴行を受けた後でもある)表立って精神が壊れてはおらず、そこからは自分の見たいものを見る為に行動しているだけの女性である。倫理観は無い。彼女に救いの手を差し伸べてきたのは世間から見たら悪人なのだ。善悪など大した問題では無い。拾って貰った命で恩を返し、好きに生きるのだ。
フィクサーがやることで今後どうなるのか興味がある。遺物に直接触れる機会が増えるのも楽しい。途中、エリオットの存在に目をつけてからの流れは、更に間接的に復讐の機会が出来た。彼女にとってどれもがフィクサーの傍に居て手を貸すに値する理由であり、彼女の行動理由は一つでは無い(これもややこしさの一因)
セオリーほど歪んでいないものの、十分に悪キャラ。彼女の思考は本文中で結構明らかになっているが、何故そういう思考に辿り着いたかって部分が腑に落ちない場合の補足だけしておくと、学ぶような歴史というものは大半が過ち。それらをいつまでも繰り返すのが人間。彼女の場合はその学んだ内容を全て悪い方向に転換している。それらから逃げるには善や正義ではなく、自分も染まるのがてっとり早い。このあたりの精神描写ではセオリーが共感していた。もし助けてくれたのが警察とかそんなのだったら、彼女の中での結論はきっと変わっていたはず。
人の考えを左右するのは文字や言葉よりも、結局は実体験が一番強い。知識で学ぶ程度ではそれらを活かせない、だからこそ人間は過去の過ちを繰り返す。そんな皮肉的な作者の精神が見事に出たキャラ。
エマヌエルには前述の事情で、殺しには行かないが目の前に居れば殺す、くらいの恨みを抱いている。また、自分を虐待していた親戚は全て始末済で、身分偽装は比較的容易だったと思われる。
フィクサーに対しては感受性の強い時期に鮮烈な救われ方をした事で恩以上の感情を抱いており、身を投げ打つのも吝かでは無い。だがそれはそれとして、好きな人をいじるのは楽しいなぁと思って接している結果がアレ。ひどい。
セオリーに対しては、変なところでキレるヤバい奴という印象を持っており、出来たら関わりたくないと思っているが、好きな人の親友なのだからと諦めている。
あんなのが親友と思って疑わない、人を見る目の無い所も可愛いのだ。ダメな男がどんどんダメになっていく様なんて最高に愛おしいのだ。ひどい。
持っている知識としては、ローズの上位互換、と言ったところであり、女神の遺物の使い方は大抵知っている。ブリーシンガの首飾りを得てからは精霊武器を無理やり使い、クリス達の前に立ち塞がる。要所で事態を複雑にさせてくる、ドSなお姉さんである。
なお、酒が飲めないのはアルコールに弱いのではなく、酒を使った虐待(それもう拷問やろがい)が特にしんどかったらしい。
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